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広告費削減

PayPayの「100億あげちゃう」キャンペーンにみる光と影

2018.12.19

「payment」と手書きしている写真

PayPayって何?どんな仕組み?

今回のキャンペーンでPayPayを知って、スマホアプリを入れた方も多いのではないでしょうか?

使ったことがない方のために簡単に説明すると、アプリを立ち上げて表示されるバーコードをお店に読み取ってもらったり、お店のQRコードをアプリのカメラで読み込んで金額を入力すれば、PayPayアプリと連動している自分の銀行口座やクレジットカードから支払いができるようになっています。

こういったQRコードを読み取って行うキャッシュレス決済は、中国が先行しているイメージですが、80%を超える韓国が圧倒的に高い利用率を誇っています。

日本では2027年までに利用率40%を目標として、今後の普及を狙っています。

「100億あげちゃう」キャンペーンとは?

今回のキャンペーンは、PayPayで支払った際に支払額の20%が戻ってくる、しかも40回に1回は全額戻ってくるという、かなり大盤振る舞いな企画でした。

キャンペーン期間は
2018年12月4日9:00~2019年3月31日23:59
を予定していましたが、ふたを開けてみると12月13日をもって終了となりました。
開始から、わずか10日間でキャンペーン予算である100億円を使い切ったようです。
還元率20%なので、単純計算するとわずか10日間でPayPayを使って500億円分の買い物がされたことになります。

このタイミングですので、ビックカメラグループやヤマダ電機など、大多数のサンタさんが利用したのではないかと考えられます。

この100億円という広告予算ですが、最近何かと話題のRIZAPグループやハウス食品グループの昨年の広告宣伝費が98億円ということなので、10日間のキャンペーンとしてはかなり攻めの広告だったことがわかります。

しかし、面白いのはその使い方で、一般的に知られてないサービスを展開するのであればテレビCMなどのいわゆるマス媒体を使って拡散する方法がとられますが、今回は露出としての広告を最小限に抑え、ユーザーに還元する方法がとられました。

だからこそ、SNSが普及している今の時代とマッチし、ネット上で口コミや噂が蔓延し、結果としてマスコミがニュースとして取り上げることで多くのユーザーに知られ、PayPay利用者が増えることとなりました。

ユーザーに喜ばれながらサービスが広がっていく形は、理想的な広告展開ではないでしょうか。

このキャンペーンが功を奏し、運営側としても予想以上に早期に終了する事態となったようで、Androidユーザー数だけを見ても20倍以上に増えています。

PayPayはどこで儲かるの?

このキャンペーンでもちろんユーザーが増えていますが、同時に加盟店も増えています。
アプリ内から見れる加盟店マップを見ても、個人店を中心に意外なお店で使えるようになっています。
導入店舗側に設備投資が必要なく、QRコードを印刷できれば良いのもQRコード決済の最大の魅力ではないでしょうか。

なお、2019年9月30日までは店舗への入金手数料も無料となっています。
まずは店舗とユーザー数を増やして普及させるという戦略ですが、キャッシュレス決済はユーザーの行動履歴、購買行動といったビッグデータの保有が可能ですので、まずはこのデータを企業に販売したり、自社グループで活用することがマネタイズポイントだと考えられます。

PayPayの課題、今後の展開は?

現金を持ち歩く必要もなく、ポイントがたまり利用者にとってメリットの多いキャッシュレス決済ですが、日本で普及しない最大のポイントは「現金で特に困ってないから」に尽きるかと思います。

慣れている現金から手段が変わることの抵抗は、すでに普及している韓国や中国でも少なからずあったと思いますが、偽札も少なくお金もきれいな日本では何より現金への信頼が高すぎるということが普及のハードルになっているようです。

また、いくつかの問題も出ています。

  1. キャンペーン中もシステムエラーでPayPayを使えなくなった期間が発生しました。
    今後は、お金を扱う仕組みとして絶対的な信頼性を確保するため、エラーやセキュリティ対策は必須となります。
  2. あくまでも現時点での話ですが、携帯電話番号の変更や、PayPayに登録したアカウントを削除することができません。
  3. こちらもあくまでも現時点での話ですが、PayPay残高を現金化する方法はありません。
    キャンペーンで得たキャッシュバック分も、再度PayPay加盟店で利用する形となります。

今後は、こういったいくつかの課題を乗り越えつつ、利用者が定着するかが肝心なところですが、私個人としてはどんどん普及してほしいと思っています。

 


山口 裕介