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きっと外さない! 福岡“食べる”観光 ご案内5軒目 町屋あかりや

2019.07.22

福岡には九州の素晴らしい食材が集まって、美味しい食事や酒だけでなく、その雰囲気や会話を楽しめる店がたくさん。「食べることが一番の楽しみ」と言われるのも、この街らしい観光のあり方だと感じます。ようこそ、美味しい福岡へ。これから定期的に、私が好きな“笑顔になれる料理店”へご案内します。

Text / Photo トリゴエツヨシ

仕事終わりの帰り道、路地に洩れる灯りが温かで通り過ぎるときについ覗いてしまう店があります。ガラス戸の向こうには小さく輝く橙色の灯りと笑顔の人影。昔ながらの食堂のように和む景色は『町屋あかりや』。赤坂という街中で、優しくて温かい下町の風情を感じさせる小さな店です。一度ガラス戸を開いて腰を下ろせば酒を愛する大人たちを引きつけて止まない、その魅力をお伝えしたいと思います。

名物ズラリの思いやり食堂

写真:豚汁
▲豚汁は小サイズでも具だくさんのこのボリュームで。
写真:唐揚げ
▲「若どり唐揚げ山椒風味」は必食ですw。
写真:卵焼き
▲卵黄が美しいレモン色のため“ゆむたファーム”の玉子焼は見た目も上品。

 「あ〜、ほっとするぅ」。酒客にはたまらない、心をグッとつかまれる食事メニューが40種ほど。『町屋あかりや』の名物を勝手に3つ挙げるとすれば、まずは豚汁です。寒い冬にはもちろん、夏も変わらず食べることが出来る定番で、正しくは「深夜食堂の豚汁」がメニュー名。コクがあって野菜たっぷり具だくさん。呑んだ後の〆にもいいし、燗酒と一緒に楽しむのに小サイズ(400円)も選べて一人呑みにもぴったりです。さらに外せないのが「若どり唐揚げ山椒風味」(1ケ300円)。衣がカリッと香ばしく揚げられた唐揚げは下味もしっかりと旨味あふれてジューシーだし、しかも安い! と大満足。さらに「ゆむたファームの玉子焼」(600円)は、自然豊かなうきは市で鶏を平飼いする“ゆむたファーム”の卵を使って丁寧に焼かれた玉子焼。ボリュームもたっぷりで、焼きたてはフワリと優しくて滋味深い美味しさが本当に心にしみます。これらのメニューは店主・畑麻由子さんが目の前のキッチンでオーダーごとに手作りするから、家庭料理の温かさも満喫。毎日の大変な仕込みに加え、少し時間をかけても丁寧に調理している様子を見ると、店主の思いやりも加わってお酒もいっそう美味しくなるのです。

ファンも羨む「深夜食堂」

写真:笑顔をうかべる畑麻由子さん
▲店主の畑麻由子さん。優しい笑顔で迎えていただき感謝です。
写真:メニュー
写真:竜ちゃん
▲安倍夜郎氏の直筆“竜ちゃん”が壁に!

 この店がオープンして間もなく3年、テーブルに立てられた食事メニューを見れば豚汁のように、「深夜食堂の〜」と書かれたメニューが他にもあることに気づきます。話を聞けば麻由子さんは東京で10数年『町屋あかりや』を開いていて、その時の常連客の一人が人気コミック「深夜食堂」作者の安倍夜郎さんだったとか。安倍さんお気に入りの『町屋あかりや』メニューが「深夜食堂」の連載で実際に掲載されたり、物語のテーマに合うレシピを考えたこともあったそう。『町屋あかりや』の第2ステージは、縁があって福岡で展開することになりましたが、すでに東京で「深夜食堂」を支えていたと聞けば福岡の現店舗こそリアルな「深夜食堂」だと言えるかも。店内には福岡まで顔を見せた安倍さんが寄せたキャラクターの生イラストも壁描きされて、ファンも羨む魅力あふれる空間に。ただ、今は時間を前倒して15:00〜22:30の営業で深夜に行けることはないのですが、人情あふれる「深夜食堂」の想いはそのまま。昼呑みできる酒場としても和める雰囲気を醸してくれているのです。

想いも優しく温かく

写真:カウンター席
▲店内はカウンター7席にテーブルが2つ。18時以降は予約が望ましいです。
写真:店内
▲1杯目はサッポロ黒の生ビール。カウンターに並ぶ多彩な燗酒が次に控えています。
写真:長イモのソテー
▲「深夜食堂の長イモのソテー」(580円)。最後に醤油を絡ませた香ばしさがそそります。

昼呑みできる営業にシフトしたことで、店の素敵さがいっそう際立った気がするのは私だけではないはず。とある夕方に顔を出した際に「今日は遅い昼ご飯なんです」と、立ち寄られたお客様が隣り席に。豚汁とスパイシー豆カレーのハーフサイズに、「深夜食堂の長イモのソテー」をオーダーしてサワーを1杯。仕事を一区切りして食事と楽しむ1杯の酒が「気持ちと体をリフレッシュさせてくれますね」と爽やかな笑顔に、私も嬉しいひと時でした。明るい時間に楽しむ酒の心地よさだけでなく、柔らかく客を迎えてくれる麻由子さんやスタッフの笑顔で気分も最高。美味しい料理をゆっくり楽しめる昼の贅沢なひと時は、ぜひ無理をしてでもオススメしたい過ごし方です。

 「福岡に来て、食材の豊かさや素敵な生産者さんたちと出会える喜びが大きくて」と話してくれた麻由子さん。食べる人を想い、生産者の皆さんを想い、美味しい酒を楽しむ喜びを分かち合おうと、気負わずに自分なりのチャレンジを楽しんでいるよう。東京の人には申し訳ないけれど、きっと福岡の『町屋あかりや』のほうが東京の頃より素敵に進化している気がします。酒と食事を楽しむ多くの笑顔が温かい空間に溢れている様子を見る度に、素敵な幸せを一つ福岡にいただいて、ありがたく思う帰り道なのでした。

お店情報

店名町屋あかりや
住所福岡市中央区赤坂1-10-7 スコーレ赤坂102
電話番号092-781-1388
営業時間15:00〜22:00
店休日日曜日
席数15席

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鳥越毅