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特別企画

スパイ小説に学ぶ観察眼(シーズン1)

2019.04.04
画像:男性スパイの横顔シルエット

こんにちは。児島です。
今日から新しいシリーズが始まります。その名も「スパイ小説に学ぶ観察眼」

とはいっても、あらゆるスパイ作品の中から観察眼の参考となるものを選んでご紹介するわけではなく、特定の小説に狙いを定めそこから学べることを共有していく流れになります。

このリクトマグがWebに関するメディアであることも忘れず、記事の中でWebとうまく絡める部分を探しつつ進めていければいいなぁという思いでおります。

ジョーカーゲームとの出会い

さっそくですがみなさんは、ジョーカーゲームという小説をご存知ですか?

推理作家の柳広司氏によるシリーズ物のスパイ小説で、約20個の短編で全体が構成されています。映画で実写化されたりTVアニメになったり、表現の幅は多岐に亘りますが、やはり基となる小説の面白さはズバ抜けたものがあります。

CDの場合はよくジャケ買いといいますが、本の場合もジャケ買いというのでしょうか。

あるときフラっと立ち寄った本屋で、平積みされていた何とも不気味なソレを手に取り、何気なし読み進めたのが始まりでした。

この状況をWebサイトと閲覧者の関係に置き換えたらこうです。

Webサイト(書店)に訪れた閲覧者(私)は少なくとも来店当初は特定の目的を持っていなかった。つまりターゲットとは呼べない存在にあった。

でもたまたま目に入ったバナー(表紙)を開いたところ、まったく予期しなかったお宝情報が立ち現れ、ついつい購入に至ってしまった。

Webサイトの運営者からすると、期待していなかった閲覧者からコンバージョンが発生し、まさに棚からぼた餅状態。

仮に月一回、クライアントへ解析レポートを挙げる契約になっていたとしたらそこには、「理由はよく分からないですがとにかくラッキーだったっす」といった一言を残すのみ。

我々が新しい商品やサービスを知るとき、その多くは宣伝や紹介を経由します。

平積みされていたという意味で、書店からするとあきらかな意図をもってそこに紹介していた本書ですが、その周辺に宣伝ポップ的なものは見当たりませんでした。

つまり無言でそこに佇んでいたものを自分が発見したという優越感。これこそが消費行動において特別な喜びと呼べるものでしょう。

そうして見つけた商品やサービスは、誰にも教えたくないという人間の性が働くようになっているようです。

結城中佐というキャラクター

写真:読書している様子

さてスパイの話に戻しましょう。
スパイのあらゆる能力の中で、特筆すべきはその観察力です。

観察力に優れているということは、仕事人としてきっと優秀。他人の些細な行動に気付き、もてなしや労いの言葉を掛けるのも容易に違いないと思います。職種立場は違えど、我々はそんなスパイから多くを学ぶことができるはずです。

ジョーカーゲームの中に私の気になるキャラクターがいます。
結城中佐その人です。

ここで結城中佐のご紹介。

陸軍中佐。50代年配。常に無表情で感情を表に出さない。底知れぬ頭脳と冷淡にして冷酷な言動から「魔王」の異名で恐れられる。かつては優秀なスパイとして長年に渡り敵国に潜伏し日本陸軍に有益な情報を多くもたらしたが、彼を恐れた仲間の裏切りにより敵に捕らえられるものの、隙を見て敵の情報を盗みつつ脱走した。捕縛中に受けた拷問で片手を失い、現在は義手を付けている。普段は右手に白い革の手袋をし杖をついて左足を引きずるような歩き方をしているが、歩行には何の問題もなく義手も左手であるなど、全てが敵(および味方)に対するフェイクである。陸軍幼年学校及び士官学校卒業生の名簿に『結城』という名が無かったことから、名前も偽装の可能性がある。

引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%BC%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%83%BB%E3%82%B2%E3%83%BC%E3%83%A0

どうでしょう。この謎に満ち満ちた存在。実際に小説を読み進める中で彼の魅力は加速するばかり。余程この人物、ひいてはこの作品の世界観に魅かれたのか、私の数年前の手帳にはこのようなメモが残されていました。

  • 結城中佐みたく
  • 結城中佐にあこがれて
  • ここぞというときにこそ出ていく結城中佐

まるで子どもの作文ですね。でもこのように、フィクションの登場人物に憧れる経験を通して、物語におけるキャラクター設定の重要性を知ったことは間違いありません。

この話はきっとWebサイト制作において重要となるペルソナ設定(架空の顧客像設定)にも通じますね。

ちなみに何か小売業をやっている企業があったとして、もしペルソナにこの結城中佐を設定したならば、それはいったいどんな商品を売ろうとしているのか大変興味のあるところです。その想像だけで三日三晩はたのしめることでしょう。

ということで次回から、「スパイ小説に学ぶ観察眼」その本編に入っていきたいと思います。


LCT編集部