スパイ小説に学ぶ観察眼(シーズン2)
2019.04.18
こんにちは。タイピング強化月間中の児島です。
前回から始まった2つ目のシリーズ記事「スパイ小説に学ぶ観察眼」。何回続くかわかりませんが、あらためて方向性の確認です。
- 特定のスパイ小説に狙いを定めそこから学べることを共有
- スパイのあらゆる能力の中で特筆すべきはその観察眼
- 最終的にそれらとWebの話を絡めることができたら御の字
ではさっそく、進めてまいりましょう。
死ぬな、殺すな、とらわれるな
この記事内でご紹介するスパイ小説、ジョーカーゲーム。そこで登場するスパイ養成学校「D機関」で教えられる鉄の掟に、死ぬ、あるいは殺すことはスパイにとっては最悪の選択肢というものがあります。
本来戦争というものは殺すか殺されるかの世界で動いており、そこにおいて死んではいけず殺してもいけないという教えは異端と言えるでしょう。
ただそこには、人々の関心事である「死」が任務の遂行に与える大きな影響の観点から述べられていることが作品の中で謳われています。
D機関のメンバーは生命のあるかぎり情報を持ち帰ることが自分たちに課せられたミッションであることを理解し、常識といった、ある種とらわれる原因になるようなものは自己判断でバッサリと排除をしていきます。
それを可能としているのは、D機関の常軌を逸した訓練内容。ここに一部をご紹介します。
- 爆薬や無電の扱い方
- 自動車や飛行機の操縦法
- 数カ国語に及ぶ外国語の修得
- 国体論、宗教学、医学、心理学等の講義
- 受刑中の金庫破り常習犯による実技指導
- 針金一本で鍵を開ける技術
- 手品師によるカードすり替え
- ダンスやビリヤードの技術
- 歌舞伎の女形を招いての変装技術
- プロのジゴロによる女性の口説き方実演
- 竹ベラ一本で跡も残さず封書を開封
- 鏡に映した左右反対の文字を一瞬で読み取り暗記
- 命令書は複雑度合いを問わず一瞥したその場で必ず破棄
- 暗闇で指先の感覚だけを頼りに短波ラジオを分解し再び組立
加えて、 冷たい水の中を着衣のまま泳ぎ、夜通し仮眠もとらずに移動した後、前日に丸暗記した複雑極まりない暗号を自然な言語のように使いこなす……。
私の調査が追いついていませんが、この小説はいくつかの文献資料を基に作られた作品のため、実際にこのような訓練が行われていたとしてもおかしくはありません。
何から手を付ければいいのか
Web業界で働くみなさんにおいては日々新しい技術やツールが短期間に出現し、その情報収集に追われる状況の大変さは容易に想像がつきます。
先に挙げたD機関のように常軌を逸した訓練までは必要ないにしても、自分の置かれた状況や役割において必要となるスキルを習得するため、優先順位の目を養うことが今後問われるに違いありません。
スパイの観察眼とは
このD機関をたった一人で創設し、当初猛反対していた陸軍内部にその存在を認めさせた結城中佐(前回の記事でご紹介)の言葉を借りるならばこうです。
「先入観は持たず、自由な発想を妨げるものは排除し、あるがままの世界を自分の目で見る。結果それはスパイが生き延びるための唯一の手段となるのだ」
数多くの情報を整理し、分類し、そこから正確な状況判断を導き出す。こういうビジネスパーソンはきっと現場で重宝されることでしょう。
ということで、今日はここまでです。次回はジョーカーゲームにおけるスパイの外見性に触れます。

「スパイ小説に学ぶ観察眼 」シリーズまとめ読み!
LCT編集部