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特別企画

スパイ小説に学ぶ観察眼(シーズン6)

2019.06.27
写真:裏と表

こんにちは。音楽好きライターの児島です。
「スパイ小説に学ぶ観察眼」シリーズ。今日で早くも6回目となりました。

全10回の連載モノなので、ちょうど折り返し地点となります。

残り半分のレース、加速していくのか失速していくのか書いている私にはまったく想像できませんが、ひとまず給水して筆を進めることにしましょう!

スパイの仕事の種類

世界のあちこちで暗躍するスパイたち。しかしその全員が敵国の極秘情報を持ち帰るという役割を与えられている訳ではありません。

たとえば敵国に潜入はするけれど、そこに関わる人間同士に不和を起こさせ、本来行われるべきだった作戦を遅らせたり中止に導いたりといった役割を果たしたり。

はたまた、自分たちの活動にとって不都合な人間に何かしらの疑いが掛かるような情報をそれとなく流し、自らの手を直接動かすことなく、その相手を排除に導いたり。

そしてスパイの仕事は敵国だけで行われるわけではありません。自国内に潜伏するスパイの存在を炙りだし、一人ひとり、またはその一味を摘発する役割を担うこともあります。

その摘発するターゲットとは、わかりやすく敵対している国のスパイの場合もあるし、友好国だと思っていた国のスパイということもあり得る。

複数の色々な思惑が入り混じる国際関係の中で、自分たちの国が物事を有利に進めていけるよう、スパイたちはお互い過度な緊張感の中で目を光らせ合っているというわけです。

二重スパイの存在

二重スパイとは、たとえばA国のために活動している風に見せておいて、実はその雇い主であるA国のことを探る立場にある人間のこと。

二重スパイが生まれる背景には金銭的な誘惑、思想の変化、大きな弱みを握られやむにやまれずなど、さまざまなパターンがあるようです。

この連載の中でご紹介している「ジョーカーゲーム」の中でも二重スパイの存在はたびたび出てきます。

主人公である日本陸軍の結城中佐は、容疑の掛かった相手国のスパイをあえてそのまま泳がせて都合のよい情報源とするか、二重スパイに仕立てるといった選択を取ります。

二重スパイに仕立てるといっても、相手からすると長年生れ育った自分の国をある意味裏切ることになるわけですから、まずそのあたりのマインド整理から入るのだろうと予想はできるのですが。

そのあとにどういった教育を施していくのか、大変興味のあるところです。ただ残念ながらこの作品内でその部分を語るシーンは出てきません。

スパイのことをあれこれ調べてみると、二重スパイにもう一層加えた三重スパイの存在も確認することができます。

三重スパイが生まれる背景は、二重スパイよりもっと複雑に違いないと予想はしますが、活動中の本人たちの精神構造はどうなっているのかまったく想像がつきません。

スリーパーの存在

実際に存在するかどうかわかりませんが、ジョーカーゲームの中にはスリーパーという存在が登場します。別名「眠れるスパイ」。普段はスパイ活動にまったく関係のない生活を営んでいる人間が、ある特定された条件下だけスパイの仲間的な動きをする。

たとえば日本のスパイが敵国で捕まってしまった場合、敵国の一軍人であるはずのそのスリーパーは仲間に嘘の情報を伝え、日本人スパイが逃げられるような段取りを整える。

そのスリーパーは何がメリットでそんなことをやるのかというと、日本人スパイを逃がす以前、とうてい返しきれない大きな恩を日本に受けているからです。

具体的には、最愛の娘が持つ超困難な病を治すための高額な医療費。

「どこの国にせよ、一軍人の給与なんてタカが知れている」

そんな相手側の事情を察し、自国のスパイに何かあったときのために先手を打っておく。そういった戦略の中にスリーパーという存在は欠かせないということなのかもしれません。

ということで今回は、スパイの仕事の内容に触れていきました。 次回もこれらに関係する記事にする予定でいます。ではまた!


LCT編集部